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俺好みの恋人
カーテンの隙間から眩しい外光が室内に細いラインを走らせている。―――――美律の瞼は半分以上下りたままだけれど、ぼんやりしながらも朝っぽいな、というのは何となくわかった。
何だかすごく喉が渇いたなぁ・・・、とひりひりする喉の痛みを覚えつつも、いつも目覚めにするのと同じく、手足を思い切り突っ張るように伸ばした。――――――つもりだったけれど、伸びなかった。
「・・・ぅ?――――何かすげぇ窮屈・・・、え?ナニコレ、羽交い絞め?つか、ナニ?俺の声」
手足を伸ばせなかったのは、背後から響尾にしっかり抱え込まれているからなのだが、寝起きのアタマでそこまで考えが追い付かなかったらしい美律は、この理解しがたい状況に首を傾げる。
「―――とりあえず、思い出してみようか、俺・・・」
少し顔を俯けて上掛けの隙間からその中をちらりと覗けば、自分より太い腕と大きな手が肩から胸にかけてをがっしり押さえ付けるように抱きしめている。
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