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「取り消さねぇし、なかった事にもしねぇぞ」
「・・・うぅ・・・」
「―――、・・っとにお前潔悪いな。覚えてんだろ?自分で言った事」
「・・・う」
「うぅ、とか、う、とか・・・。もっとまともに喋れ」
「―――、・・・」
諦めたように美律は小さく溜息を吐いて、ゆっくりとした動きで響尾の正面に向き直る。
「――――美律・・」
「・・・ん」
「――――おはよう」
「・・・・・・・・、お、オハヨ」
首の後と腰に回された手に引き寄せられ、美律の柔らかな頬が響尾の逞しい胸にふにゃりと当たる。
なにこれ・・まるで恋人みたいじゃん。――――とベタな事を思った瞬間、美律は密やかに頬を染める。
“恋人みたい”ではなく、正真正銘”恋人”になったこと思い出したから。
美律は思い切るように顔を上げた。
「――――あのさ」
「ん?今度は何だよ」
「・・・。んー、いや。初めに言っておきたい事あって」
「初めに・・?―――――ふん、なるほど。こうなった現実は認めてるってことか。・・・悪くねぇな」
「・・・。―――――”自分で言ったこと”、だし」
「ハハ。―――それで?」
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