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「ん。―――――前にも言ったけど、俺、こういうの慣れてないから、正直どういうスタンスでアンタと接したらいいか、わからない。だからさ・・・、その、恋人・・?らしい付き合いとか、アンタが期待する様な態度、たぶん俺、出来ないと思う」
単に肌を合わせて精を吐き出す行為も、こうやって抱きしめられて朝を迎える事も、今まで何度となく経験してきたのに、その関係性が一時のものではなく”恋人”という不確かな関係性になった途端、どんな反応や態度をすればいいのか全く分からなくなってしまい、美律は情けないと思いつつも、これは先に言っておいた方がいいだろうと羞恥を圧して尋ねてみる。
鼻で笑われるだろうか。バカにされるだろうな。・・・もしかしたら、こうなったことを考え直してくれるかもしれない。あぁ、いっそこれっきりにしようかとでも言ってくれないかな・・・。――――――様々なことを・・どちらかと言えば負のイメージばかりを想像しながら、美律は答えを待った。
「・・・そうだな」
まずは思った通りの肯定の言葉。――――――僅かに胸の奥がツキンと痛む。これも知らない感情だ。
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