俺好みの恋人

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「バカ。帰すわけねぇだろ。―――――まだ7時にもなってねぇ。俺にとっちゃ夜中だ」 「・・・ジャイアンみたい。―――――あのさ、すごく喉乾いたし、水飲んできていい?」 「あぁ。またここに戻って来るなら、好きなだけ飲んで来い」 「・・・」 「―――あー、毛繕いはダメだぞ。それは飼い主の・・・」 「ちょ・・ッ!――――アホらし」 目を閉じたままクク、と笑う響尾を睨み付け、美律は溜息を吐いてベッドから起き上がる。 僅かに体の節々に軋みを感じたけれど、不思議な程心地好い気怠さだった。 寝室のドアを開けリビングに足を踏み入れる。何も身に付けていないけれど他に誰かいるわけでもないし・・と歩を進めた所で美律の呼吸が一瞬止まった。 「――――――、お前・・・伴さんの新しいセフレ?・・・へぇ。そっち狙いだったわけか」 明らかに棘のある声と蔑むような鋭い視線が、はっきりと美律に向けられていた。
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