修羅…場?

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「んー?・・あぁ俺、何か流れ的に昨日から伴と付き合うことになったんだよね。だからさ、立場的に言うと俺が本命でアンタは間男・・でしょ?そしたらキレんのって俺の方なんじゃないかなって。・・・今まで逆の立場だったから、何となく変な感じするけど」 たまにあるんだよね、本命とバッタリ、みたいな展開がさ。―――――と全く怒りなど感じないゆったりとした口調で答え、美律はケイに背を向けキッチンへと向かう。そして視線の端に入ったあるものを見てほんの一瞬だけ目を細める。何も気づかなかったように再び視線を戻し、冷蔵庫から未開封のミネラルウォーターを取り出して一気に半分ほど飲んでから、寝室に続くドアを開け、至って普通の声で響尾に呼びかける。 「ねぇ、伴。眠いとこ悪いんだけどさ、ちょっと起きてくれない?たぶんアンタにとってヤバい状況だと思うから」 薄暗い部屋の真ん中に鎮座する大きなベッドの中央部分がもぞもぞと動き、「・・ぁあ?」と、不機嫌そうな掠れ声が小さく響いた。 美律は気にする様子も見せず、相変わらず単調な声で続ける。
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