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車から降りてきたのは美律よりも少し背の高い綺麗な顔をした男だったが、身に付けている服やアクセサリー、香水などの雰囲気からして、どうもオーナーというよりはホストに近そうだった。
「――――オーナーさんでは・・ないですか?」。一応の確認をして、美律は相手の返事を待った。
「オーナーさんでは・・ないね」。美律の申し訳なさそうな聞き方が面白かったのか、男はふふと小さく笑って真正面から美律を見つめた。
「――俺はケイ。駅裏にある店のホストやってて、今は仕事帰り。―――ちなみに、その店は昨夜が営業最終日で、今度の木曜からこのビル内に移転オープン。――――――で?君のご用件は?」
「あ・・・えと・・・。―――突然すみません。いつもここにその車が停まってるからオーナーさんのかなって思って・・・。あー・・俺は隣の店でバーテンやってて・・。――――あの。オーナーさんに伝えてもらえませんか?――”一度ウチの店に遊びに来て下さい”って」
「隣・・・?―――って、え?シルク?丈治さんの店だよね?ってことは君は・・・」
「あ。それじいちゃんです。俺は孫の美律」
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