プロローグ

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初めて会った時、幼いながらに本当にこの人が自分の祖父なのだろうかと多少の不安はあった。想像していたのはテレビドラマやアニメなどで見ていた、”白髪で腰の曲がった老人”だったのに、美律の目の前に現れたその人は、何処からどう見てもまるで老人の雰囲気はなく、背が高くてがっしりとした体格、半袖のシャツから伸びる腕は太く見たこともないような模様がたくさん描かれていた。短く刈り揃えられた髪と、健康的に焼けた肌、日本人離れしたような彫の深さと口元にたくわえられた髭・・・。とにかく、一見するととても孫のいるような年齢の人物には見えなかったのだ。 それでも美律は、「――――じ・・ぃちゃ、ん?」恐る恐るそう呼んで見上げてみた。・・・美律の瞳に映ったのは酷く複雑な表情でこちらをじっと見つめる祖父の顔。
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