命の花

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それから2日後の会社が休みの土曜日、お昼前に理玖と東京駅で待ち合わせして、新幹線で理玖のお爺さんが住んでいる静岡に向かった。 理玖と僕は新幹線が発車してから東京駅で買った駅弁を食べながら話をした。 「理玖のお爺さんは、どんな感じの人?」 僕が率直に質問すると、 「優しいお爺さんだよ!  でも大学では考古学の研究一筋で、考古学者としては日本国内でも一目置かれる存在みたいだよ!」 と話してくれた。 静岡は僕の生まれ故郷でもあって両親が住む実家があるから、今日は実家に帰って一泊しようかと考えている。 「理玖は今日東京に帰るの?」 僕が聞くと、 「今日はお爺ちゃんの家に泊まろうと思っているんだよ!  壮志も泊ってく?」 と理玖が誘ってくれたけれど僕は、 「僕は実家に帰って一泊しようかと思っているんだよ!」 と答えた。 理玖のお爺さんの家は、静岡駅からバスで20分ほどの少し街はずれの場所にあって、周りには畑がある静かな場所だ。 理玖に案内されてお爺さんの家の玄関に入ると、 「おぉ理玖、よく来たね!」 と笑顔で出迎えてくれた。 理玖のお爺さんは白髪で丸い眼鏡をかけている老紳士で、見るからに学者風の感じだった。 「はじめまして!  宮永です。  よろしくお願いします。」 僕が挨拶すると、 「はじめまして!  八神です。  こちらこそよろしくお願いします。」 と丁寧に挨拶してくれた。 「さぁ、どうぞどうぞ、遠慮せずに上がってください。」 お爺さんの言葉に理玖と僕が家に上がると、お爺さんは本棚に書物がたくさんある仕事部屋に案内してくれた。
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