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「理玖から聞かれた話をするのなら、この部屋がいいと思ってね!」
お爺さんが話すと理玖が、
「この前電話で話した『奇跡の泉』の話を教えてもらいたいんだよね!」
と話し始めた。
「話を始める前に、理玖は何故、奇跡の泉の話を聞きたいのじゃ?」
すると理玖が僕に向かって、
「壮志、柊月ちゃんの話をしてもいい?」
と聞いてきたので、
「もちろん、話してかまわないよ!」
と僕は答えた。
理玖は僕との関係や柊月の病状のことを説明してくれた。
「理玖は奇跡の泉の水で柊月さんを助けたいという思いで、今日ここに来たんだね!」
お爺さんの問いかけに理玖は真剣な眼差しで頷いた。
「奇跡の泉について知っていることを全て話すのはかまわんが、その水で柊月さんを本当に助けることができるかどうかまではわからんよ!」
お爺さんの話に理玖が、
「うん、わかってるよ!
話を聞いてどうするかは、壮志と相談して決めるよ!
お爺ちゃんには迷惑かけないよ!」
ときっぱりと答えた。
「わかったよ!」
とお爺さんは優しい笑顔で頷いて話し始めた。
「奇跡の泉は、ギリシャのオリンポス山の麓にある洞窟の中にあると言われておる。
その洞窟の中には、何人もの人が足を踏み入れたが、奇跡の泉を見つけたものは誰もおらん。」
お爺さんは本棚からギリシャ神話の本を取り出して、理玖と僕に本の中の挿絵を見せながら話を続けた。
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