命の花

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お爺さんの話では、洞窟に入ったら2つのおきてを守らないと奇跡の泉にはたどり着けないという話だった。 1つは、決して振り向いてはいけないということ。 そしてもう1つは、決して声を出してはいけないということ。 この2つのおきてを守ることは僕には簡単そうに思えたけれど、実際には相当困難だという話だった。 すでに2000人以上の人が奇跡の泉を求めて洞窟に入ったけれど、まだたどり着いた人は1人もいないという話だった。 またお爺さんは、こんなことも教えてくれた。 「洞窟に入ると、二度と入ることはできなくなるよ!  チャンスは1回だけという意味だよ!」 お爺さんの話を聞いた理玖が、 「壮志、どう思う?」 と聞いてきたけれど僕は、 「う~ん…」 と言って、半信半疑の状態であることを態度で表した。 僕は少し沈黙して考えてみたけれど、柊月を何とか助けたいと思っている僕は決心して、 「僕はギリシャに行こうと思います。  柊月を助ける方法がない今、僕はできることをやってみたいと思います。」 とお爺さんに正直な気持ちを伝えた。 「今日は貴重なお話を聞かせていただいて、ありがとうございます。  何としても柊月を救おうと思います。」 僕がお爺さんに心からの感謝の気持ちを伝えるとお爺さんが、 「私の話に嘘はないよ!  奇跡の泉で柊月さんを助けることができたら嬉しいよ!」 と率直な気持ちを話してくれた。 理玖がギリシャに一緒に行こうかと話してくれたけれど、そこまで理玖に迷惑をかけるのは申し訳ないと思って、自分一人で行くと伝えた。 この日僕は理玖のお爺さんにお礼を言って、理玖の家を出て実家に帰った。
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