命の花

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僕は莉生さんに奇跡の泉にたどり着くための2つのおきての話をすると、 「はい、知っています。」 という答えが返ってきた。 僕はなくしてしまった時のことを考えて耳栓を2つ持っていたので、この1つを莉生さんに渡した。 僕たちはお互いに懐中電灯を持っていて、これで前を照らしながら洞窟の中に入っていった。 莉生さんと僕は洞窟に入る時、前だけを見て歩くようにして決してお互いの顔を見たり話しかけたりしないという約束をした。 洞窟の中は真っ暗で、足元を照らしながらゆっくりと前に進んでいくと、 「壮志、助けて!」 とまぎれもなく母の苦しそうな声が聞こえたかと思うと続けざまに、 「わしらを置いていかないでくれ!  頼む、助けておくれ!」 と父の苦しそうな声が聞こえた。 耳栓をしているはずなのに、その声はまるで僕の頭の中に直接話しかけてくるような感じがしたけれど僕は、 (おとうさんとおかあさんは、こんな所にいるはずはない!) と自分自身に言い聞かせて、洞窟の奥へと進んでいった。 きっと莉生さんも同じような状態なのではないだろうかと思ったけれど、僕はまっすぐに前だけを見つめていた。 その後今度は、 「壮志、私を置いていかないで!  お願い助けて!」 という柊月の泣き叫ぶ声が聞こえてきた。 それでも僕は、 (これは幻覚だ、幻覚に違いない!) と自分に言い聞かせて、ゆっくりと前に進んでいった。 それから暗い洞窟の中をさらに先に進むと、少しうす暗い空間にたどり着いた。
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