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「ありがとうございます。
この水は大切に使わせていただきます。」
と僕がその女性にお礼を言うと、その女性は再び光りはじめて、まぶしい光の中に消えていったかと思うと光は消えて辺りはうす暗くなった。
僕が洞窟の外に出ると莉生さんが洞窟の入り口に立っていた。
「私、途中で父と母の苦しそうな声が聞こえて振り向いてしまいました。
するといつの間にかここにいました。」
莉生さんの話に僕が、
「そうだったんですか…
僕は命の泉までたどり着いて命の水を手に入れました。」
と話した。
「私、もう一度行ってみます。」
と話したかと思うと莉生さんが、
「あれ?」
と言ってきょとんとしてしまったので僕が振り向くと、僕が出てきたはずの洞窟の入り口がなくなっていた。
「洞窟に入ると、二度と入ることはできないと聞いています。」
僕が話すと莉生さんは落胆した表情を浮かべていた。
僕は柊月を助けたい気持ちでいっぱいだったけれど、
「この水、お母様のために使ってください。」
と言って莉生さんに差し出した。
すると莉生さんが、
「いいえ、いただけません。
せめて半分ずつに分けませんか?」
と言ってくれたけれど僕は、
「この水は、半分にすると効力がなくなるようです。
この中の水を全てお母様の命の花に与えてください。」
と言って、莉生さんに水筒を手渡した。
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