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無事に披露宴も終了し、明日からの新婚旅行に向けてホテルの部屋に戻った。
「疲れたんじゃないか?」
「少し。」
でも、幸せな疲れだと思う。
「明日も朝早い。俺は仕事の最終確認をするから、先にお風呂に入ってくるといい。」
「じゃあ、お言葉に甘えて先に入っちゃいますね。」
和暁さんは、明日からの旅行のためにここ最近かなりハードワークだった。
今からきっと、自分がいない間の指示を細かく結城さん達に出すんだろうな。
「はぁ~…気持ち良かった。」
「出たか。…知亜希、ここへ。」
示されたのは、和暁さんの足の間。
…そこに座れって事?
ちょっとだけドキドキしながら行くと、後ろ向きに座らされて抱きしめられた。
「和暁さん?どうかしました?」
「…控室で慎也と何を話してたんだ?」
「まだ気にしてるんですか?」
「あいつの事は信用してるが…」
”相当独占欲が強いし、過保護だ”
結城さんの言葉を思い出して、和暁さんを振り返る。
「和暁さん。」
「ん?」
「私は、和暁さんの事を愛してます。」
「…分かってる。知亜希の事は信用している。…ただ俺が不安なだけだ。大切な存在が出来ると、幸せと同時にこんなに不安になるもんなんだな。」
「…私だって不安ですよ?だって和暁さんモテるから。いつかのパーティの時みたいに誘われる事だってあるだろうし…」
「俺は知亜希以外に興味はない。」
「はい。信じてます。私だって、和暁さん以外に興味なんてありませんよ。」
だから心配することなんてないでしょう?
「…そうか。そうだな。」
気持ちが伝わったのか、抱きしめる力が強くなった。
「知亜希。…愛してる。」
「私も…」
少し甘えるように触れてくる唇を受け入れる。
何度も触れてはまた離れて…それを繰り返している内に、お互いの体が熱を持ち始めた。
そのまま優しくベッドに寝かされて、大事そうに触れられる。
和暁さんと結婚出来て、本当に良かった。
その思いが伝わるように、目の前の大切な人を抱きしめる。
…ねぇお祖母ちゃん。
お祖母ちゃんが居なかったら、和暁さんとは出会えてなかったかもしれないね。
辛いこともあったし、始まりは契約結婚だったけど…
今は凄く幸せだよ。
和暁さんと、期限のこない新しい契約を結んだから…一一一
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