番外編:Un happy birthday-和暁side story-

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「どういうつもりなの?!私にあんな恥をかかせるなんて!」 パーティーを途中で退席し結城の用意した場所へ向かうと、かなりの剣幕で女が捲し立てる。 よっぽどプライドが傷ついたらしい。 「どういうつもりかはこちらが聞きたい。俺達の関係はもうとっくに切れているはずだ。それなりの金も渡している。今更何の用だ。」 「それは…あなたが結婚したって聞いたから。そしたらあんな地味な女なんだもの。あんな嫁じゃ可哀想だと思って、態々私の方から誘いに来てあげたのに!」 「言っておくが、俺はついさっきまで完全に忘れていた。思い出すのに苦労したぐらいだ。」 女の顔が更に怒りに歪んでいく。 「どれだけバカにしたら…!!」 「妻を侮辱する事は絶対に許さない。」 自分でも驚くほどの冷たい声に、流石の女も俺の怒りが伝わったのか押し黙った。 「どうやって調べたのかは知らないが、万が一妻に何かあれば俺はあらゆる手段を使って君を追い詰める。」 「まさかあんな女に本気なわけ?有り得ない…あんな地味な女が私よりもいい思いをするなんて…何で私があんな女に負けるのよ!」 「…2度と俺達の前に現れるな。さっき言った事は本気だ。…忘れるな。次は無い。」 勝ちだの負けだのに拘っている時点で、この女には一生分からない。 まあもうどうでもいい。 2度と会う事のない女だ。 早く帰って、知亜希の顔を見たい。 それだけを思って、結城と車に乗り込んだ。
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