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「慎也、あの女の事どう思う?」
「どうとは?」
「変だと思わないか。あの女、俺が結婚した事だけじゃなく知亜希の事まで知っていた。」
「誰かが態とあの女を嗾けたって事か?」
「もしかしたら、例の噂の出処と同一人物かもしれない。」
独身だった頃の女関係はまだ何とか言いようもあるが、結婚してからの女性問題は話が別だ。
有り得ないが、万が一あの女の誘いに乗ろうものなら恐らく証拠を掴まれていただろう。
ましてや結婚そのものが偽装だったなんて事になれば、プライベートとはいえ仕事にも悪影響を及ぼす。
「偽装結婚に女関係…信用を無くすには十分だな。」
「…父が突然俺に会社を継がせたせいで、古参の重役の中には俺を良く思っていない人間がいるからな。スキャンダルは恰好の餌だ。」
特に専務は、次期社長を狙っていたはずだ。
「なら思惑の1つは潰せたって事になるな。取引先もいる中であれだけ派手に言えば、相当な愛妻家だと思われただろ。」
「だと良いが…」
あの女をもう少し問い詰めるべきだったか。
あまりの嫌悪感に一刻も早く離れたい気持ちが強すぎた。
せめて、誰から結婚の話を聞いたのかだけでも聞き出すべきだったな。
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