自由と不安

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何の迷いもなく、ただひたすらに空を飛ぶ鳥。 野に咲き誇る花は自分の与えられた場所で 最善をつくし、美しい花を咲かす。 流れる川は海へと向かい やがて雨となり地上へ降りそそぐ。 あの人はいつも夢を追っている。 自分の好きを知っていて ただそれに向かって 真っ直ぐに生きている。 みんなそれぞれに一生懸命に生きる理由がある。 なのに私は、何のために生きてる。 何が好きだったんだっけ。 それが分からなくなったんだ。 純粋に笑い、地面と視線が近くて 全てのことが輝いて見えた幼少期が ひどく懐かしく感じる。 何もかもを信じ 夢が叶うことも願った。 しかし、私はそもそも夢のない人間だった。 何者にもなりたくない。 ただ私はこの世界に生きているだけだった。 本当に空っぽなんだ。 自分の限界を感じ、 ただ立ち止まり そして怖がり 沼にはまって 全く動けなくなった。 何もかも信じられなくて 人が怖いと思うときがある。 自己を否定されたのは いつだっただろうか。 私の中に深く色濃く残っている。 この傷はきっと消えず、青くて苦い。 私は人を信じ そして自分のことも 他の人のことも 何も理解していなかった。 私は私らしく生きたかった。 ずっとそう思っていたんだ。 中学時代 ただ黙っている自分を 影で嘲笑っていたあの人たち。 ずっと昔から仲のいいと思っていたあの子も 影で賛同していた。 自分でもこんな自分が嫌いだった。 何も言葉にできなくて こんな自分なんか 否定されて当たり前だと思った。 何よりショックだったのは 信じていたあの子も 私を嫌っていたことだった。 でも、私はあの子を恨みはしないし ただずっと仲良くしてくれたことを 感謝している。 でも、もう、二度と会うことはない。 そして、あの子もそれを望んでいない。 私は狭くて苦しい世界から解放された。 それは私にとって、とても嬉しくて 鳥かごから旅立つ鳥そのもので ひどく希望に満ち溢れていた。 高校時代 全く知らない顔ぶれ。 私は、自分の過去を知らない人に囲まれた。 しかし、唯一人私を知っている人物がいたが 何とか新しい自分を築き上げた。 私は笑顔を覚え演じた。 笑うことが何よりも私を救った。 ヘラヘラしている私を見て 不快に感じていた人もいるかもしれない。 しかし、私はそうやって生きることでしか 自分の存在を保つことができなかった。 そして、友人もできた。 でも、それはほとんど偽り。 本当の友人はただ一人。 でも私はそれで十分嬉しかった。 真正面から本音で語り合える。 私とは真逆で素直に物事を言える人だ。 そして何よりも芯のある人間で 自分の声を挙げられるんだ。 私はその友人を信頼し その友人も私を信頼してくれていた。 私は偽りの笑顔でなく ありのままで話せたのだ。 これが本当の友達だと思った。 しかし、ここでも壁にぶつかった。 私の進路を否定する先生がいた。 ただ私は影で涙を流した。 大学生になった。 友人とも離れ、また新しい環境。 大学は色んな人がいた。 しかし、私は人を避け極力一人を選んだ。 純粋に真面目に勉強したいと思った。 そして、友達と呼べるのか分からないが 話しやすい人はできた。 本当の自分とかじゃなく、 嘘で偽りの自分と仲良くなってくれる人も 弱くて醜い自分を知ったら きっと嫌いになるんじゃないかな。 そんな不安を抱えながら 毎日を生きていた。 私は何故生きているのか。 何のために生まれたのか。 日々自分に問うが、 何も教えてくれないし 何も分からず、 生きていることが辛くなる。 高校時代、無理して関わってきた友人関係に とてもストレスを感じ大学ではなるべく単独行動をとるようになった。 自分の殻に閉じこもり 人を避けて生きるのを選んだ。 それでも私を受け入れてくれる数人と 比較的ありのままで話すことができた。 大学では思ったより一人で行動している人もいた。毎時間、友達と授業が一緒というわけでもなかったので私は集中して勉学へ励んだ。 そして、世界には色んな人がいる。 私と話してくれる人もいるんだ。 そんなことにも気づけた。 私の関わった人たちは驚くほど優しかった。 それと動じに私は人を信じられない自分に ひどく悲しくなった。 そして、自由になればなるほど不安がつきまとう。 本当にこの選択が正しいのか分からなくなる。 確信がなく、まるで霧の中をうやむやに歩いているかのようだ。決められたゴールもなく、 私は本当はどこへ進みたいか分からなくなった。 それまでは、ある程度決められたレールを たどりここまで進んできた。 しかし、これからは自分だけの道を 自分自身で決めて進んでいかなければならない。 それがひどく怖く恐ろしくて 自分の無気力さに気づいてしまいそうで とても恐ろしく動けない。 何も、生きている理由がないからだ。 私を甘えだと思う人もいるだろう。 でも、これは私にとって重要な問題である。 多くの人は、みんな夢中になれるものがある。 私は分からなくなる。 本当にそれが好きなのか分からなくなるんだ。 そして、今、まさに私は迷い歩く人間だ。 世界の真理を知っているようで 本当はまだ知らない。 たったの20年しか生きていないかもしれない。 でも私が歩んで見てきたことは私にとっては 世界の真理であり事実であった。 未来に対するひとかけらの希望と どうしようもなく膨大な不安の渦を抱え フラフラと道も分からず進んでいる。 生きたいのか死にたいのか それさえもよく分からない。 そもそも生きるってなんだ。 死ぬってなんだ。 生きていても辛いが 死んでも幸せになるとは分からない。 そんなことを考えてしまう。 そして私は本当に生きているのか 自分でもときどき分からなくなる。 そして、密かに消えたいと思うこともある。 自分でも分からない。 死にたくない。ただ、消えてしまいたい。 そんな風に思ってしまうこともある。 でも、いざ自分が死にそうになったとき きっと私は、もっと生きたいと思うんだ。 それは分かる。 何よりも私は死に対する恐怖がある。 ただ、私はそっと静かに存在する。 それだけが私に与えられた使命だと思う。 私は何にもなれず、何も望めない。 夢や希望、目標もない。 ただただ残った時間を生き続ける。 私が私であることを探すしかない。 それだけが私が生きる意味だった。 そして、この呪いからの解放は きっと守るべきものや 自分が信じたい何かが見つかったときに 少しずつ解かれていくんだと思う。 私は今、自分中心に生きている。 だけど私にできることを見つけられたら それはきっと幸福で生きている証になる。 情熱もなく冷めきってしまっていても ただただ生きてみるしかない。 あんなに自由になりたかったのに いざ自由を手にすると どうすればいいか分からなくなるものだ。 学校という縛られた世界は窮屈で そして狭いが 自由になればなるほど 自分自身で背負う責任も重くなる。 そして、私はどうやって生きればいいか 全く分からなくなる。 好きなことやものも本当に好きなのか 分からなくなる。 今まで生きてきた軌道を 立ち止まり考える。 そして、動けなくなった。 迷ったら行動。 思ったが吉日。 それが前の私だったはずだ。 そして、行動こそが自分を変える一歩である。 なのに今は、こんなにも怯えている。 一体何に怯えている。 それさえも分からない。 そして、変わりたくない。 ただただじっと、世界の隅で 静かに生きていられたらいいんだ。 そう思っているはずなのに 私は私にしかできない何かを見つけたい。 そう考えてしまうんだ。でも、私は動けない。 そして、私は何より人に嫌われるのが怖い。 否定されるのが怖い。 どんな希望的な言葉も 受け入れたいはずなのに 私は自己否定をしてしまう。 少しずつでも 私らしく生きたい。 それを見つけたら ただひたすらに真っ直ぐと 信じて進んでみたいだけなんだ。
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