花ひらく

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 あの光が飛び散った日、少年が渡した種は至る所で一気に芽が出て花が開いた。  どの花も春の陽を受けてキラキラと輝いている。 「シド?見えるか?」  老人が空を見上げて呟くと、ふわりと暖かい風が吹き抜けた。  色とりどりの花が揺れて甘くて優しい香りが広がる。  少年の渡した種は少年の一部だった。  そして、少年の光によって芽を出し、花となって……受け取った人はみんな笑顔で前を向いた。  明るい笑い声は至る所で響き渡り、周りも一緒に笑顔にする。
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