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「あ……ありがとう」
とりあえずお礼を言って受け取ると、少年はにこりと笑って去って行く。
男は手の中に残ったその種を見つめてなぜかそのまま歩き出した。
ホームセンターに入って園芸コーナーに向かう。
パッと目に入ったシンプルな植木鉢と土を買ってそのまま近くの公園に向かった。
ベンチに座って種を握ったまま鉢に土を入れてからそっと種を置く。
表面をさっとならして慎重に水をやるとその鉢を眺めた。
友人に感じたモヤモヤも彼女が友人に見せた笑顔を見て感じた敗北感も……静かに消えていく気がした。
毎朝、起きたらまずその植木鉢を眺める。
だが、いつまで経ってもそこに変化はなかった。
「あれ?世話の仕方違ったのか?」
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