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ここは、私が通う私立瑞野学園。私は、二年B組雪本琴音。
クラスメイトには、"浮かれたことに興味ないよね"ってよく言われる。
いわゆる「真面目」「優等生」ってやつだ。でも、この物語は恋愛です。
さあ、どうなるのか。
「超かっこいいよね。瑞野君!」
「理事長息子で、頭よくて、イケメンって、ポイント高いよね~」
「付き合うとしたら、瑞野君みたいなひとがいいな~」
クラスの女子の会話は、いつもこんな感じ。
私は恋愛に興味ないし、恋したいとも思わない。
興味があることと言ったら、静かな場所で歌うことと、勉強かな。
だから、恋愛には興味がない。
でも、瑞野君のことで、気になることはある。彼は、成績上位者。
私は、B組の中では上位だけど、
学年全体となると真ん中辺りに埋もれてしまう。
だから、いつも全体順位で5位以内をキープしてる彼が、
一体どんな勉強をしてるのか気になる。
「琴音、今度は何読んでるの?」
この子は、私の友達で、吉原優奈。彼女も、瑞野ファンだ。
だたし、他の子と違って、私が瑞野君に興味なくても仲良くしてくれる。
他の瑞野ファンの女子たちは、瑞野君に興味や好意を抱いてない人と
仲良くしたくないらしい。
「今は、吹奏楽部の小説読んでる。ちなみに、友情もの。」
「それ、読んでて楽しい?」
「楽しいよ。優奈、毎回その質問するよね。」
「そうだっけ?琴音には、悪いけど、私、本に興味ないからなぁ。」
わたしは、苦笑するしかない。いつものことだし。
そして、優奈がこう言った後には必ず、
「興味がないって言ったら、琴音は本当に瑞野君に興味ないの?」
「全くないよ。瑞野君の成績や勉強方法には興味があるような、ないような。」
「琴音って、本当に勉強と本のことにしか興味持たないよね。あと、音楽か。
もう一回、恋とかしてみればいいのに。世界が変わって見えるよ?」
「そんなことしたくない……。琴音も知ってるでしょ?私が恋愛しない理由。
それに、本や勉強だって面白いよ?」
二人でそんな話をしていたら、突然
「キャー。瑞野君だ~。」
「ねぇ、今、私と目が合った。」
「違うって!今のは、私と目が合ったの。はぁ、幸せ~。」
またか。目をハートにして騒いでる女子たちを見ていた。
なんでこんなに騒げるのだろう。
だた、人気者のイケメンが教室移動してるだけなのに。
そんなに騒いで、何が楽しいの?見返りがあるわけでもないのに。
時間の無駄でしょ?
「はぁ~、やっぱりいいな。瑞野君。」
そして、他の女子同様、優奈もうっとりしている。
そこまで、もてはやさなくてもいいでしょ。どうでもいい。
「彼のどこがいいの?私には、さっぱりわからない。」
私が、優奈に聞くと、彼女は、一瞬、私の質問に驚いて、
「琴音がそんなこと聞くなんて……。」
と言ってきた。
「えっ?おかしい?」
少し強く聞き返してしまった。気を悪くしてないかな?
「ううん。おかしくないよ。だた、琴音が瑞野君のこと聞くなんて初めてだなぁと思っただけ。」
よかった。気は悪くしてないみたい。
「う~ん。瑞野君のいいところかぁ。改めて聞かれると……。」
「じゃあ、どこが好きなの?」
「そうだなぁ。瑞野君は、モテるでしょ?だから、瑞野君の彼女になれたら、注目の的でしょ?それに、人気者を独り占めじゃないけど、そんな優越感があるの。そういうの、憧れるし、みんなに一目置かれそうでしょ?あと、理事長の息子だから、お金持ちの家だし、イケメンで、優しいの!」
「ふ~ん。」
そんなの、うわべだけじゃん。
「琴音、聞いてる?」
「うん。聞いてる。でも、理解不能。」
やっぱりだめだ。いくら熱弁されようとも、気持ちは変わらない。
どうして、人ひとりのことで騒げるの?その人がなにしたの?
だた、顔がかっこいいだけ、頭いいだけでしょ?
心の中で何思ってるかわかんないのに、なんで……。
「琴音?大……。」
キーンコーンカーンコーン
優奈の声がチャイムに遮られた。
「やばっ。チャイムじゃん。席着かなきゃ。」
今の優奈との会話で、私の心に何かが引っ掛かった。
考え事をしていたせいで、授業に集中できなかった。
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