1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
お昼になって、優奈と一緒に屋上でお弁当を食べるため、
階段を上がっていると、泣きながら屋上から降りてくる女子とすれ違った。
屋上に着くと、その女子が泣いていた理由がすぐに分かった。
その理由は、瑞野響夜。あの女子は、瑞野君に告白して振られたんだ。
「あ、ごめん。ここ邪魔だよな。」
「いえ、別に……。」
優奈は、うっとりしながらそう答えていた。
優奈には悪いけど、内心うざいと思った。いつもの優奈じゃなかったから。
「優奈、早くご飯食べよっ!」
「えっ、あ、うん。じゃあね、瑞野君。」
「響夜でいいよ。クラスと名前教えてくれない?」
「私は、吉原優奈。B組だよ。」
「そっちの子は?」
「……。」
うざい。話しかけないでよ。
「ねぇ。教えて?」
「教える理由ある?意味わかんない。私、あなたにかかわりたくない。」
「……。ならいいよ。友達に聞いとくから。優奈、またね。」
馴れ馴れしい。ああいうの、軽いような気がして嫌だ!
誰か一人と付き合えば、女子も諦めるのに……。
そんなことを考えながらお弁当を食べてたら、
あっという間にお昼休みが終わってしまった。
私たちが、瑞野君と会ったあの日から、彼は偶然を装って何度も会いに来た。さすが、女好きだなぁ。多分、彼が私たちに会いに来るのは、私が初めて彼に興味を示さなかったからだと思う。ほとんどの女子に好意を向けられていたから、私みたいなのが珍しいのだろう。
「ねぇ。名前教えてくれない?友達に聞いても誰だっけとか、知らないとかしか言ってくれないんだ。」
なに?新手のいじめかな?
「それなら諦めれば?それとも、名前教えたら付きまとわなくなる?!」
「まぁまぁ、琴音。落ち着いて。せっかく響夜が琴音に興味持ってるんだからさぁ。」
優奈、ついにおかしくなったか?
「それは、私が、初めてこの人に興味を示さなかったからだって!そうじゃなきゃ、こんなにしつこくつきまとわないでしょ!」
「いや、それはそうかもしれないけどさぁ……。」
休み時間終了のチャイムが鳴り、瑞野君は、
「じゃあね。優奈、琴音。また昼休みに。」
と言い残して教室に戻っていった。私たちも教室に急いだ。
教室で瑞野君と話すのは、みんなの反感を買うから逃げているのだけど、
逃げた先を、どうしてか瑞野君は見つけ出してきて結局話すことになる。
昼休みいつものようにお弁当を持って優奈と屋上に行った。
すると、瑞野君が自分のお弁当を用意して待っていた。
「はぁ?なんでいるの?」
「さっき、お昼休みにって言ったじゃん。だから、待ってたんだ。」
「……。そういうのが、イヤなの!」
優奈も瑞野君も驚いてた。
「なんなの?!どうして私にかまうの?私が何かした?あなたが勝手に私につきまとうことで散々な思いしてるの!もう私にかまわないで!」
もう我慢の限界で、言いたいことを言って教室に戻った。
「ちょ、琴音、待ってよ。響夜、ごめんね。琴音のあの態度には、理由があるんだ……。」
優奈もわかんない!なんであんな奴のこと好きなんだろう。私は、あんな奴、嫌い!どうせ、あいつも同じだろうから。
最初のコメントを投稿しよう!