仮面

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 月曜日の午前七時半。まだ鳥の囀りのほかは何も聞こえない講義棟の廊下を、僕はひとりのそのそと歩いていた。  目的地は、一限のある二階の小さな教室。普段ならどうせ出席も取らない科目だからと遅刻ぎりぎりの時間まで来ないのに、今朝は徹夜明けの頭による妙な発想で、「早起きは三文の徳っていうし、実践してみよう」なんて思いつきで、七時に家を出て大学へ向かった。  もうすぐ教室に着いてしまうが、今のところ良いことなんて起こっていない。考えてみたら寝ていないのだから早起きも何もなかった。こんなことなら三十分でも仮眠をとってから来るべきだった、どうせ誰もいないだろうしやることもないから机に突っ伏して寝るか、と考えながら教室のドアを開けると、窓際の席に見覚えのある後ろ姿を見つけ、半分閉じかかっていた僕の目は途端にばっちり開いた。
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