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「それにしても人っ子1人通らないね。」
「まぁ来てる人自体が少ないからな。」
「なんか昼寝したら気持ち良さそうじゃない?ここ日陰で涼しいし?」
「無駄に早起きしたから眠いんだろ?」
バレたかー!と言いながら琥太郎に寄りかかる晶はもう目を閉じていて。
硬いと文句を言いながら頭を預ける位置を探している。
「こっちおいで。」
少し体の向きを変えて抱き寄せてやると、どこもかしこも硬いのよ、琥太郎は。そう言ってふふふと笑った。
10分経ったら教えて、そう言って静かになった晶は、本当にすぅすぅと寝息をたて始めた。
少し汗ばんだ頬に張り付く髪をかきあげて耳にかければ、白い首筋がやけに色っぽい。
そこに吸い付いて所有の印を付けたい欲に駆られるが、多分きっと怒られるな。
帰りの車で口を聞いてくれなくなったら大変だ。
そうやって眠る晶のあちこちを心ゆくまで観察していたら、10分など等に過ぎていた。
そろそろ起こすか。
勿論お姫様を起こす手段はキス。
チュッと軽く口付けてみたものの、うちのお姫様はそんな物では起きる気配もない。
ならばもうちょっと本気のやつを。
さっきから吸い付きたくて堪らなかった首筋にそっと唇を付ける。
でもここに吸い付いたらきっと怒られるし。
目線を落とした先、チラチラと見え隠れする鎖骨に、ストレートに言えばムラっと来て。
首元を指で押し広げて鎖骨のすぐ下に吸い付いた。
「んっ!んん??」
一瞬だけ色っぽい声を出すから余計にムラっと来たが、直ぐに疑問の声色に変わると、バンバンと容赦なく背中を叩かれる。
「そんな起こし方してって頼んでない!」
「起こし方については指定されてないだろ?」
「そうだけど!」
「健全な場所でこんな事言うのもなんだけど。昨日中途半端に終わったから、今、俺、めっちゃお預け状態だよ?わかる?」
「知らないよ!」
「どっか泊まって帰るって言う選択肢も出てきたけど、どう?」
「帰ります!」
「そう。残念。じゃあおうちでゆっくりね?」
「バカじゃないの!?もう置いていく!」
プンスカ怒って先に歩き出すが、足にガタが来てる晶に追いつくのは簡単な事で。
背後から肩を抱けば振り払って走り出す。
でも直ぐにへばって膝に手をついてハァハァ言って立ち止まって、追い付く度に飽きもせずに逃げ出す。
どんどん走る距離が短くなってるけど?
そう笑って言うと、休憩!そう言って道端に体育座りで座り込んだ。
「こんなところで座り込むなよ。」
「休憩中!」
「あちーよ!」
腕を掴んで立ち上がらせたものの、本当に膝が笑ってよろけたのを見て、有無を言わさず背中に背負い上げた。
「世話が焼けるお姫様だなぁ。」
「はいはい。すみませんね!あーあ、もう足腰限界だから今日は何にも出来ないわぁ。」
対抗してわざとらしく大きな声で主張するのが余計にかわいいって分かってるんだろうか?
「そうか。仕方ないから今日は風呂からなにから全部俺がやってやるよ。足の先から頭の天辺までピッカピカに磨きあげて、足も腰も丁寧にマッサージしてやるな?」
「お風呂は1人で入れますー!」
「心配すんな。最後まで面倒見るよ?寝る前のストレッチ代わりに軽く運動して、強制的に意識飛ばしてやるから。きっと朝までグッスリだろ?」
「ちょっと場所考えてよ!」
「何お前、エロい事考えてんの?」
「えっ?違うの?」
「いや、正確。」
ケラケラ笑うと、首に回っている手がぎゅーっと首を締め上げて来るけど、勿論本気で締め上げてる訳ではない。
そんなに元気なら歩くか?と問えば、ヤダ!とピッタリ背中にしがみつく。
おいおいお嬢さん。
おっぱいが背中に押し付けられてますけど?
そんな、こっちの気も知らないで。
晶は呑気にお土産何買って行く?なんて話している。
どうせこれからはずっと一緒の夜を過ごすんだし、今は貴重なデートに集中すべきだろう。
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