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琥太郎が満足そうにカメラロールをチェックして、やっとスマホをサイドテーブルに置いた時、晶は大きく息を吐いてバタンとベッドに倒れ込んだ。
疲れた!
大した事はしてないけど精神的にマジで疲れた!
忘れよう。うん。この事は忘れた方がいい。
なかった事にしてしまおう!
いつまでもこんな服着てるからいけないんだ。
早くお風呂に入ってさっさと着替えてしまうのが1番良いに決まってる。
「琥太郎、私の着替えも持って来てくれたんだよね?」
「ああ、うん。大丈夫。」
「荷物どこ?お風呂入って着替えて来る。」
「は?」
「えっ?だってもう終わったんでしょ?さっき最後って言ったじゃん。」
「ああ、写真?」
「そうだよ!終わりって言ってた!」
「うん。こっちはもうOK。」
「じゃあいいでしょ?いい加減着替えたい。」
「まだだってば!こっからが本番でしょ!?」
「はぁ?」
当たり前だろう?写真だけで済む筈ない。
ミニスカから見える脚とか、際どいスリットとか勿論興奮するけど。
ピッタリと体のラインが強調されてて、胸の辺りなんかパツパツで。
晶は気付いてないのかもしれない。
どれだけエロい格好なのか。
立ちあがろうとした晶を慌てて制して両手をベッドに縫い付ける。
早くこうしたくて堪らなかったのに逃げられたりしたらたまったもんじゃない。
手首を拘束したまま首筋に舌を這わせて、頸を甘噛みする。
腕を解こうと抵抗する力が弱まるまでじっくり時間をかけてたっぷりと。
ピクリ、ピクリと晶の体が反応を始めて、それが息遣いにハッキリと現れたのを確認してからそっと手を解放した。
タイトな服の上からウエストラインを撫でて、大胆に入ったスリットから指先を滑らせる。
晶は滅多にスカートなんか履かないし、履かせるつもりもないから、スカートの裾から指先を忍ばせるのも新鮮で。
それだけであり得ないくらいに興奮した。
ああ、もうシたい。
直ぐにでも入れたい。
頭の中はそれしか考えられない。
服を着せたままとかめちゃくちゃエロい。
このまましてしまおうか?
何だよ!ちくしょう!胸元が開かない!
このままじゃおっぱいに触れない!
胸元まで一気に服をたくし上げて、それと同時に背中のホックを外す。
「これは・・たまんねーな。」
服とブラジャーがまとまって晶の喉元にたくし上げられた姿があまりにも煽情的で一気に理性はぶっ飛んだ。
朝までたっぷり楽しむつもりで、予め追加料金を払ってレイトチェックアウトにしていたと知ったら晶は怒るだろうか?
まさかこんな展開になるとは思っても見なかったけれど、結果としては同じだからまぁいいか?
本心を言えばまだまだ時間が足りないし、連泊にしてしまっても良いんだけど。
いつもと違う場所で、あんなにエロい格好をした晶とって、めちゃくちゃ興奮して、めちゃくちゃがっついたのは確かだし、偶にはこう言うのも悪くない。
機会があれば、いや、また機会を作って必ず。
だけど、そんなエロい晶を他のやつに見られた事とか、他の男に背負われていた事実はまだ完全には消化出来なくて。
晶は俺の物だって、俺だけの物だってちゃんと確かめるのはもっとプライベートな場所、やっぱり2人の家がいい。
だから少しだけの我慢だと自分に言い聞かせて、仕方なく晶から体を離した。
「晶、ごめん、風呂はうちでいい?」
「ん・・時間?」
「うん。そろそろ。」
「ごめん、ドライブは無理かも。」
「分かってる。ドライブはまた今度行こ?」
「うん。ごめん。」
「いや、俺こそごめん。起き上がれそう?」
そう言って琥太郎はゆっくりと抱き起こしてくれたけど、正直言って座ってるのがやっと。
まぁあんな格好して琥太郎が大人しくしてる訳ないし、こうなる事は想定の範囲内だったけれどそれにしても体が重い。
「今何時?あとどれくらい時間ある?」
「13時過ぎだけどチェックアウトは遅らせて貰ってるからまだ大丈夫だよ。」
「お風呂に入りたいけど体が動かない。」
「帰るだけだしとりあえず着替えな。風呂はうちでゆっくり入ろ?」
めちゃくちゃ不本意だけど仕方がない。
せっかくホテルにお泊まりして、ジャグジー風呂とかモーニングブュッフェとか色々楽しみにしてたのに。
堪能出来たのはフカフカのベッドだけなんて。
ずっとカーテンを引いて真っ暗だったから、せめて景色だけでもとカーテンを開いたら、予想していたより遥かに高層階で都会の景色が一望出来た事によりガッカリした。
昨夜あんな事にならなければ夜景もさぞ綺麗だっただろうに。
名残惜しそうに窓の外を見つめる晶に琥太郎が気が付いて、ポスンと隣に腰掛けるとポンポンと晶の頭を撫でた。
「また来ればいいだろ?」
「うん。」
「今夜も泊まる?連泊にしようか?」
本当は家に帰ってゆっくりイチャイチャしたいけど。
晶の名残惜しそうな顔を見たら何とかしてあげたくなってしまって。
しかし晶はゆっくりと首を振ると隣の琥太郎を見上げて笑った。
「ありがと。でもいいよ。帰ろ?」
「でもさ、」
「琥太郎、帰りたいって顔してるよ?」
「えっ?」
「ごめんね。せっかくのお休みだったのに。」
「何で謝るの?俺は晶と一緒なら何でもいい。知ってるだろ?」
「うん。」
「連泊したら夜景だって見られるし、明日の朝モーニングだって食べられるよ?」
「琥太郎一睡もしてないし、私も体力的にキツイからドライブデートには行けないでしょ?」
「だから、それは気にしなくて良いって。」
「琥太郎がドライブデートの次にしたい事って何だろうって考えたの。私の予想では、」
イタズラっぽく笑う晶は誰が聞いている訳でもないのに琥太郎の耳元でそっと囁いた。
「うちのソファーでイチャイチャしたいのかなぁって。」
何も言っていないのにピタリと胸の内を言い当てられた。
晶は「あたり?」なんてクスクス笑ってるけど、こっちはそれどころじゃない。
以心伝心ってこと?
何も言わなくても伝わっちゃうってこと?
愛しさが込み上げて、感極まって言葉が出てこない。
それどころか目頭が熱くなってこれはヤバいと慌てて晶を抱き締めた。
「お前ズルいよ。何で分かるの?」
「琥太郎分かり易いもん。付き合い長いし。」
「早く帰ろ?」
「はいはい。」
「着替え手伝う。」
「それくらい出来るって。琥太郎シャワー浴びて来ていいよ。」
「いい。うちで一緒に入る。」
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