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勇者を待つ者
「姫も助けたし、これでまた平和だな」
「もう、冒険は懲り懲りだ」
「勇者の言葉とは思えんな」
タツが笑う。
「アルマー様は私たちの力がないと、力を発揮できないのよ」
「そうみたいだな」
(実際、岩を破壊するときも、マリーナに助けてもらったっけ)
「力も魔法も及ばないんじゃな」
「魔法は平均以下だけど、特技がスゴいのよ」
「誉めてるのかけなしてるのかどっちだ?」
「アルマー様、手紙です」
「ありがとう」
『親愛なるアルマー様へ。
あなたさまが魔王を倒し、姫を救出したとの噂はこちらにも届いています。
一度、またあなたにお会いしたいので、近いうちにあなたの町に行きます。
マリアンより』
「マリアンって誰?」
アンナが睨む。
「マリーナは知ってるだろう?」
「知らんな」
「分かったから話すよ」
「マリアンはここからそう離れていないところにある魔法族が暮らす街に住む魔法使いだ。魔王の手下に町を封印されたのを俺らが助けたんだ」
「あの時のマリアンか?」
「そうだ」
「アルマー様!」
「うおっ」
女の子が抱きついてきた。
「マリアンか?」
「そうだよ」
むにむに。マリアンの胸が押し付けられている。
「案外早いな」
「手紙送ったのと同時に出発したから」
「・・・大きくなったな」
「どこ見て言ってます? アルマー様のエッチ♡」
「それで、なんで会いに?」
「アルマー様の仲間に加えて欲しいと」
「でも、魔王倒したから、冒険はしないと思うけど」
「じゃあ、一緒に暮らしたい。私とお風呂入ったことだってあるじゃない」
「アルマー様、どういうこと?」
「成り行きで」
「詳しく」
「はじめて魔法都市に行ったとき、歓迎されたんだ。そしたらマリアンと話してるうちに時間が遅くなって泊まることにしたんだけど。そのときに」
「ふーん」
「じゃあ、私たちともお風呂入りましょ?」
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