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どれくらい進んだだろうか。
座るにはちょうどいい切り株を見つけたので座った。
頭を抱え、うずくまる。
気配を感じて、顔を上げると目の前に誰かが立っていた。
「うあああ」
あつしは、驚いて地面を這いつくばって、後ずさった。
「くっくっく。死のうと思っているのに、ずいぶんと臆病じゃないか」
目の前には、男が立っていた。
40代だろうか。いい生地とは言えない、皺の着いた古そうなスーツを着ていた。
あつしは、怖くて声が出なかった。
「怖くて声もでねえのか。まぁ、そんな奴は死なねぇほうがいいぞ」
男はしゃがんで、目線をあつしと同じ高さにした。
「おまえにぴったりな、いい話があるんだよ」
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