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声の主は、樹海の男だった。
「おぅい、なんだその顔は。俺の顔は忘れねぇだろう」
あつしの顔は、引きつっていた。
「……こっちに来てくれ。ここはまずい」
会社のビルの前から角を曲がって、少し歩いたところにある公園に行く。
今はまだ人がほとんどいないし、知っている人も通る可能性が少ない。
「おいおいおい、どこいくんだ」
「ここで話そう」
周りには人がいないのを確認する。
「お時間になったのでお迎えにきたんですよ」
「……もう10年だぞ?そんなのもう時効じゃないか」
「時効なんて俺はお前との契約の時に話してない。いつ、というのはこっちの都合だろうが」
樹海の男は、低い声で早口で話した。威圧感を感じる。あつしは、他の提案をすることにした。
「3千万、返すよ。いや、千万足して、4千万返すよ。そ、それでいいだろう?」
「……」
「1千万は、君が内緒で受け取ればいいじゃないか」
樹海の男は微笑んだから、あつしはいい返答が聞けると思った。
「契約は絶対だ。今から一緒に来てもらう」
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