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サービスエリアの洗面台で、顔を洗う。
水は、冷たくて気持ちが引き締まる。
あつしは、東京でひっそりと3人で暮らすことをイメージしていた。
きっと3人で幸せに暮らせるに違いない。
車の中で泣いている妻には、暖かいコーヒーと美味しい甘いものを買っていってあげよう。
娘には、大好きなソフトクリームを買っていこう。
「よし」
しゃきっと背筋を伸ばして、鏡を見ると
鏡の中には、樹海の男がいた。
「!」
あつしは、声も出なかった。
「逃げても駄目だぜ、どこまでも追っていく」
あつしは絶望し、奈落の底に落ちていくように感じた。
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