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少し、ヘラついた、俺の表情を読んだ正面のソファに座る満島先生は明らかに怒った表情をして、
「君さ、もしかして、大人にそんな夢を語らせるな。とか思っていない? だとしたら大きな間違いだよ。夢ってのは、あなたが思っているように、子供が、小学六年生が思っているような、”夢”じゃないことぐらい百も承知だよ。でもね、だからこそ、必要なんじゃないのかな?
夢を持たないと駄目だ、持ち続けないと駄目。
僕は、君にそんな人間に成ってほしい。いつも、理想を追いかけてそれに向かって出来ることをする。僕自身はあまり好きな言葉では無いのだが、教育者として言うのなら、それは努力という言葉になる。その努力をして、成功を収めて、自信につなげて、さらに上を目指す。駄目で、理想に追いつかずに、自分が嫌になり死ぬほど落ち込む。自分自身が恥ずかしくて恥ずかしくて嫌になる。その連続なんじゃ無いのかな? その原動力が、君が小ばかにしている夢を持つという事なんだと僕は思うし、自分自身そう生きて来た。
どうだい?
大人の夢は重いよな?
簡単じゃない。持つことすら、語ることすら憚られる。でも、大人の夢は原石を自分で磨くことが出来る。全て、自分自身で光り輝く宝石に出来る。君は、持っているのか?
無いのなら、今すぐ夢を持て、そして、臆面もなく叫びなさい。
それが、可能性になるのだから。
もしも、夢を忘れてしまったのなら、17年前の君の夢を思いださせて上げるよ」
といった、満島先生は、ソファの前のテーブルに『小学校五年生文集』を出してきた。
「君の17年前の夢が載っている。それを貸すから、その当時の君が目指していた未来をもう一度確認しなさい。理解出来たら、原稿用紙に向き合って、今の君の心の内を書きなさい。いいね? 質問は?」
満島先生は言いたいことだけ俺にとうとうと語り掛けて俺を解放した。
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