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人は、人の心が知りたいと、どれほど願うだろう。 何を思っているのか。 ただ、それだけが、人を救う。 ただ、それだけが、終止符を打つ。 日々働き、家族と過ごし、友人と語らい、愛する趣味を楽しみ、平和を謳歌してさえ、それを欲してやまない。 確かに、心は見えない。 しかし、突如、立ち現れる。 それは、急な来訪。 初見の姿。 発する我が声は、歓喜か、それとも慟哭か。 あれほど、欲していた心を知り、人は震える。 今、私の前に、立ち現れた真の姿! それが、お前の本当の姿か! 肌を吹きなぞる風雨に、腕をかばう。 光る稲妻、轟く雷鳴、身をすくませ、うずくまる。 吹き荒れる雷雨に、大地は揺らぐ。 さぁ、決断の鐘が鳴る! 私は、一人立ち上がり、鐘の音に耳を澄ませる。 目前に広がる荒れた野は、果てしなく終わりはない。 荒野の叫びに、鐘の音を聞け!! 欲していた心を見た今、さらに真実を進め!!! 私は、固く腕を組み、先へ踏みだす。 鐘の音を消し去ろうとする全てに、心堪えながら。 必ずや、辿り着ついてみせよう。 その先にあるのは、我、心なのだから。
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