【 第7話: 並って何? 】

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【 第7話: 並って何? 】

 その翌日、朝私が目覚めると、ベッドの横には誰もいなかった……。  私はベッドから出て、彼を探すがこの部屋のどこにもいない。  フロントへ行って、彼を知らないか聞いてみる。  しかし、分からないと言う。  しかたなく、フロントで鍵を返しチェックアウトを一人ですることにした。  すると、10万を越えるお金を請求された……。  そう、私は彼に『逃げられた』んだ……。  幸いなことに、クレジットカードを持っていたから、カードで支払いを済ませられた。  でも、私はまだ彼の連絡先を聞いていなかった。  せめて、連絡先の交換を先にしておけば良かったと後悔する。 「そうだ! 彼のSNSで聞いてみよう。何か急用があったのかもしれない……」  ホテルのロビーのソファーに座り、スマホを鞄から取り出して、彼のSNSを開いてみた。  すると……  そこには、彼と一緒に寝ている、私の寝顔の写真が載っていた……。  しかも、彼のコメントには…… 『日本人の平均の「唇」ゲットー! やっぱ普通じゃん! ついでにあっちも試したぜ! あっちも超並だったぁー! つまんねぇー! 笑えるー!』  その言葉は私の心を深く傷付けた……。  ショックだった……。  私は彼に、日本人の平均であることを、試されたんだ。  しかも、好きでもない人に抱かれてしまった……。  完全に、彼に弄ばれたんだ……。  でも、私もいけなかった。  自分は、テレビに出演して、周りからちやほやされたことにより、舞い上がってしまっていたのも事実。  後悔しても、しきれない……。  もう、元には戻れないんだ……。 「並って、一体、何……? ううぅぅ……」  私は、ホテルのロビーで、人目を(はばか)らず声を上げて泣いていた……。
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