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「危ないっ!」
そう叫ぶ、お母さんの声が耳に届いた。
「あ……」
私の不注意だった。
勢いよく右折してきた車がいつの間にか目の間にあった。
車が止まれそうにも、私の体が動きそうにもない。
真っ白になっていく頭の中。
「先輩みたいに」
誰かの声と、足音が聞こえた。
「大丈夫、まだ間に合う」
また声が聞こえた。
「……」
強く目を瞑った瞬間に、また声が聞こえた。
君は、ちゃんと生きてね。
目を開けると、優しい笑顔が目の前にあった。
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