恋する資格と資格のない私

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 私は、子どもの頃から性的なものに対する拒否感を持っていたように思う。小学生の頃、女の身体の仕組みについて学んだとき、自分の身体のことなのに生々しくて気持ち悪いと思ったのをよく覚えている。それから何年の年を経て、二十五歳になった今でも、気持ち悪いという感情が拭えずにいる。  そのせいで、好きな人と付き合ったその先の話を考えると怖かった。大学を出るまで、好きな人はできても、付き合うとかそういうことを考えられなかった。それでも、いつかは本当に好きな人となら、付き合えるんじゃないか。期待を抱いてなかったといったら嘘になる。  私は人一倍、愛情や恋愛と名のつくものに、幻想を抱いていた。愛し合った二人が幸せになるストーリー。生々しい部分が書かれていないストーリーのマンガや小説を私は好んで読んだ。
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