恋する資格と資格のない私

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澪子に小さく「ごめん」と言ってから、電話に出る。 「はい」  電話に出ると、後輩の切羽詰まった声が響いてきた。 「真由さん、ごめんなさい。お休みなのに。今、大丈夫ですか?でも、どうしてもわからなくて」  後輩は今にも泣きだしそうな程、動揺していた。 「うん。大丈夫だから。落ち着いて話してみて」  私は、後輩が話す内容を聞いた。後輩は焦っていたが、聞いているとすぐに解決策が見つかった。 「それなら私が前に作ったファイルがあるから、大丈夫」  私は、後輩にいくつか指示を出すと、電話を切った。 「澪子、ごめん」  思わず立ち上がっていた私は、澪子の前に座った。澪子は、また下を向いていた。 「仕事の電話?」 「うん。ごめん。もう終わったから」  私は携帯を床に置いた。 「私、本当はみんなのこと、嫉妬してた」  私は、澪子が突然意外な言葉を話し出したことにびっくりし、何も言えなかった。 「真由は、仕事できるし、おしゃれだし、男の人にももてるでしょ。さっきのフロントの人、真由のことずっと見てたよ」 「え。そんなことないよ」
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