恋する資格と資格のない私

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 私は慌てて手を横に振った。確かに仕事は真剣にやっているつもりだし、服装にも気を使っている。だが、それで仕事ができるかは別の話だし、服装だって自分の好きなものを着ているだけだ。男の人にもてるかどうかだって私には分からないし、そもそも普通の恋愛ができないのだ。    だが、私が飲み会や合コンで知り合った男の人と二人で出かける行為を、澪子は男にもてて遊んでいるという風にとらえたのだろう。私が付き合えない事情は、もちろん澪子にも伝えていないから、誤解が生じてもおかしくはない。   確かに男の人と二人で出かけているときは、気分が良かったとのは事実だ。私は、それを思い出して、顔が、かぁっと熱くなったのを感じる。    それから、澪子の語り出した言葉はとても意外だった。  詩織は、とても気が利くし、大人っぽくてうらやましい。  晶は背が高くて、ショートカットが似合って、格好いい。仕事ができて、いつも忙しそうにしていることがうらやましいと。 「私は、みんなにずっと嫉妬してた」  澪子はそう言った。
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