恋する資格と資格のない私

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「私、大学出てから、就職も合わなくてすぐ辞めちゃったし。それに、今まで男の人と二人で出掛けたことだってなかったし」    澪子は、勢いを増して話した。澪子は、大学を卒業後、晶とは別の会社にシステムエンジニアとして就職したが、仕事が合わず、今は派遣で事務の仕事をしている。 「だから、私、初めてできた彼氏と結婚することになって、私は初めてみんなの上を行けたと思ったの」  私は澪子の口から次々と予想していなかった言葉で出てきて、何も言えなくなってしまった。 「私は本当に嫌なことばかり言っていたと思う。でも、あの日、おしゃれなワンピースを着てきた真由がすごくまぶしく見えた。それで、思わず自慢したくなっちゃったの」  澪子は、もう温くなってしまっているお茶を勢いよく飲んだ。 「私は、真由より先に結婚するってことを、どうしても言いたかった。私だって、真由に負けてないってことを」    私は澪子の話したことを頭の中で整理しようと試みていたが、あまり上手くいかなかった。あの幸せそうにしていた澪子が陰でそんな嫉妬に苦しんでいたことを。 「澪子?私はいいけど、晶がどう感じてたか分かる?」
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