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晶に、女の子しか恋愛対象にできないと聞いたのは、卒業旅行で行った台湾の安ホテルの室内だった。四人で行った旅行で、私と晶が同室になった。
明日が帰国という日、晶は荷造りをしながら唐突に打ち明けた。
私は晶が女の子を好きなことに気がついていたので、特に驚きもしなかった。だが、晶が続けた言葉は予想していなかった。
「私、澪子のことが好きなの」
安ホテルの一室で、澪子への気持ちを語った晶。隣の部屋にいる澪子の話を嬉しそうに、そして時折、悲しげな表情を浮かべ、語るのをただ聞いていた。澪子とは良い友人でいたいから、自分の気持ちは澪子には言わないつもりだ。そう言ったときの晶の表情は、きれいだったけど、とても悲しかった。
私は、澪子が晶の気持ちを受け入れることはないだろうと思い、つらいと感じた。
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