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そのように毎週のように海に来ていたら、ある時見慣れないねこ型ロボットを発見した。
さかなくわえねこの仲間だろうか。ビーチパラソルの中でいそいそと何か準備をしている。
「お前、何ねこだ?」
「ねこはぴくにっくねこです。お出かけの準備をします」
そんなねこもいるのかと感心した。間違いなくさかなくわえねこより役に立ちそうだ。
「で、お前の雇い主は?」
「ご主人様はあちらです」
ねこが指した方には、白いワンピースを着た女性がいた。俺はドキリとした。
「ねこ、準備終わった?」
女性はこちらに近づいてきて、初めて俺がいるのに気付いた。きれいな女性だった。
「あら、あなたは?」
俺はどう答えていいか迷った。
「えーと、その」
職場は男ばかりだし、女性とあまり話したことがなく、何を言っていいかわからない。
そしたら、
「ねこはさかなくわえねこです」
と言いながらさかなくわえねこが海から戻ってきた。目当ての魚を咥えたようだ。
「あら、同じロボット?」
「ねこはさかなくわえねこです。ロボットではありません」
「ねこはぴくにっくねこです。ロボットではありません」
と2体同時に言い出した。
「ロボットを否定するとこも同じ」
女性はクスクスと笑った。俺はなんとか「そうですね」と相槌を打った。
俺はしどろもどろであまり話せなかったのだけど、女性は同じロボットを持ってることで俺に親近感を感じてくれたらしい。
その場でメッセージアプリの登録をしあった。
こんな出会いがあるなんて。さかなくわえねこに感謝だった。
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