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12 side陸斗(過去)②
雪斗が亡くなって、この世にいないことが絶えられなかった。日々、弱っていく雪斗を見て、覚悟をしてたはずなのに。
現実は、やっぱり辛くて、悲しくて。
楽しいことを我慢のしたのに、この結果は、何なんだ、我慢する必要なかった。世の中の理不尽さに耐えられず、一生懸命に生きた雪斗を否定してしまう自分にも嫌悪した。
雪斗のいない世界は、辛かった。だから、加奈子から雪斗が「陸兄を慰めて」と言ってたと聞いた時、その言葉に縋り付いた。慰めるって、、、腕のなかで、小さくなって泣いている加奈子にキスしたいと思った。キスしても嫌がらないだろうと思った。
けど、キスしようとしたら、加奈子に拒否されで、どろっとした感情が溢れた。キス以外なら、何でもいいと、加奈子が言った時、加奈子を抱こうと思った。
加奈子が処女かどうかを単純に知りたくもあった。もしかして、雪斗と・・・
バレンタインのキスは、中1なのか?中2なのか?雪斗とキス以上はあったのか?嫉妬で頭の中の悲しみが薄れた。病気でそれどころじゃなかったはずなのに、正常な判断にいたらなかった。ただ、加奈子と繋がりたかっただけだと思う。
行為をしようとした時、ゴムを持ってないことに気付いたけど、止めることはできなかった。一緒の墓に入るんだし、結婚すればいいんだって、思った。
加奈子が痛がってて、初めてなのも分かったから、最後までは、やめるべきだった。けど、やめられなかった。ファーストキスは、雪斗だから、バージンは俺がって思いもあったから。
「ごめん、痛いけど、我慢して。
結婚して、責任とるから、俺に全部頂戴」
今から、思うと、青いよな、と思う。責任取れる年齢じゃないし、無責任だった。だけど、逃げずに加奈子は受け入れたから、両想いだと思ってた。将来、結婚するんだ、今は恋人同士だって。雪斗の願いも叶えられるし、すべて良い方向に向かってる。
でも、恋人同士のはずなのに、加奈子は、キスだけは拒否する。一生キスはしないのか?雪斗とのキスをずっと守るのか?と考えると、イライラした。
キスしないなら、と代わりの対価を求めるようになった。加奈子が嫌がって、それならキスするって言うんじゃないかと、思ってた。
キスするために、いろいろ酷いことをしてしまった。本来なら、雪斗を失って辛いのは加奈子も一緒なのに。歳上の俺が慰めるべきだったのに。
だから、加奈子に彼氏が出来たから、別れたいと言われた時、やっぱりなって、思った。嫌われることはあっても、好かれるようなことはしてなかった。「わかった」って言うしかなかった。
嫌われて、そばに居るのは辛いから、大学進学を理由に家をでた。家は、雪斗と加奈子の思い出が多すぎて、息苦しかった。大学はそれなりに忙しく、卒業して就職したら、尚更忙しくて没頭することができたから、都合よかった。
ずっと、思い出に蓋をしてた。
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