13 side陸斗③

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13 side陸斗③

 加奈子より、先に目が覚めた。 加奈子が隣で寝てる、それだけで、オキシトシンが多量に分泌されてるのがわかる。  幸せ過ぎる。  昨夜は、今までで1番優しく抱けたと思う。何回も何回もキスをした。たぶん、おかしいと思われてる。それでも、止まらない。  雪斗と何回キスしたのか?雪斗との約束の後、誰かとキスしたのか?気になるけど、聞けなかった。もし、キスしててもその回数より多くすればいいって、前向きに思うことにした。  会話時間も惜しいと思って、キスしてたから、昨日は、あんまり、話が出来なかった。  本当は、誕生日のおめでとうを言いたかったのに、気付いたら、24時過ぎてた。  まだ、起きないだろう、そっと、ベットからでてシャワーを浴びる。加奈子のためにお風呂にお湯を入れとこう。洗濯機回すと起きちゃうと思うから、タイマーにした。  その後、ベットに入って加奈子が起きるまで、もうちょっと寝ようと思ったけど、寝れなかった。  加奈子の寝顔見ながら、今まで、雪斗が加奈子を守ってくれていたような気がしてきた。  加奈子が、目を覚ました。でも、ラブラブな雰囲気とかなくて、一線を引かれてる気がした。お風呂に入るように言ったら、浴室に入って、そのまま浴室から、出てこなくなった。  昨日夜、想いが通じたんだって、舞い上がってて、加奈子が起きるまで、幸せで堪らなかったのに。  はぁ、加奈子は俺のこと、どう思ってるんだろう。さーと、テンションが下がって、最悪な結果を想像して青くなる。高校生の時の悪行もあるし、誤って、許して貰うところから始めよう。  起きて、着替えて、焼きそばでも作ろうかと、準備する。風呂から出たら、すぐ食べれるようにもう作り始める。焼きそばが冷めてしまったころ、洗濯機も終わったから、干し始める。加奈子の洗濯物を干すなんて、同棲カップルみたいだな、ニヤニヤしながら下着も干す。干し終わっても、加奈子が出てこなくて、心配になってきた。  浴室をノックしたら、返事があってほっとした。出てきたら、焼きそばを温め直して2人で食べた。   美味しいと言ってくれて、全部食べてくれた。 「ユキ、焼きそばパン好きだったね。山田パン屋の焼きそばパンが、ピカ一と言ってた」 「雪斗は、山田パン屋の焼きそば、最高で4個食べた時あったな。山田パン屋の他のパンを食べてるの見たことないかも」 「ユキ、同じもの続いても平気だもんね。カレーうどんを1週間食べた時あった。付き合う家族の方が大変よね。  おばさんのグラタンが1番好きだったね。おばさんは、ユキに夕飯、何がいいって聞くと、グラタンしか言わないから、困るって言ってた。月に3回作ったら、さすがにおじさんと陸兄にクレーム貰ったって」 「同じチキンなら、唐揚げか、チキンカツがいいって言ったかも。美味しいけど、違うもの食べたくなる」 「陸兄もおじさんも、ユキが食べたいって言ったら我慢するくせに」 「あ、食べものの話してたら、ケーキ食べたくなった。後で、誕生日ケーキ買いに行こう。昨日、お祝いしたかったけど、そんな感じじゃなかったし」 「ふふ、ありがとう。陸兄とユキの話するの楽しい。おばさんとは、よく話すんだよ。おばさんの知ってるユキの話と、私の知ってるユキの話するんだけど、だんだん、ネタ切れしてきちゃった。だから、ユキに会いたいね。3人で公園に花見に行って、昼寝したい。昼寝にはまだ寒いかな」  そっと抱きしめて、キスをした。 「雪斗が居なくなって、加奈子にいっぱい酷いことした。ごめん」   ずっと、後悔してた。  俺は抱いた後から、付き合ってると思ってたのに、加奈子は、片想いだと思っていたことに驚く。  俺は高校生だったし、好きとか、愛してるとか、恥ずかしいから言ったことがなかった。酷いことしか、言ってなかった。戻れるなら、戻ってやり直したい。  嫉妬でおかしくなってたけど、昔も今も加奈子が1番好きだと、上手く話せない。本当に俺もユキも加奈子が好きだった。ユキにもらったチャンスを上手く活かせなくて、焦る。  ただ、ただ、加奈子に縋り付いてしまった。    
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