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流れる僕ら。
「あっ!そんなことよりあいつ…!あれ?」
「あ?」
あれ?
僕ら4人は、僕が指差した浅瀬を見て首をかしげた。
「え、あー。なんでもない」
詳しく説明したところで、信じてもらえないことを理解して、この不思議な感覚を僕の頭の中の理解だけに留めておく。
「うわ、幻覚でも見てんじゃないの?」
「まじかよ。お前、厨二病か?」
態とらしく、それも適当で面倒な二ノ宮と進藤の絡みに、僕は眉間を絞って右目を疼かせた。
「そうだよ、あまり他の人には言わないでくれ、最近、僕の右目が疼いてきてて…」
「じゃあ、カフェいこーぜ」
「さんせーい、結奈もいくでしょ?」
「うん。ふふっ」
僕のボケを流した3人はこれからの事を決め始める。でも、天野さんだけが少なからず笑ってくれたように感じた。
「ぼ、僕も行くよ」
僕も行くではなくて、そこが僕の家だ。
母親が経営してるカフェ。
3人が先に歩き始めた後、僕は追うように歩き始める。砂浜から離れたくらいだろうか、気になって仕方がない僕は、もう一度その浅瀬を振り向いた。
あしたもまってる。
目を見開く。
また、そこに居た少女。
日差しに反射した遠くの浅瀬にいるはずの少女。そんな少女の口元がはっきりと、薄らな笑みでそう伝えているのがわかった。そんな気がしたんだ。
その言葉に期待した後、振り返って3人を追った。
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