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「私ね、意識があった時からここに居て、誰にも知られないままずっとここにいたんだ」
「君のことが見えるのって、僕だけ?」
「わからないよ、私が一体何者で、何処にいけばいいかもわからない。ぜんぶぜんぶわかんないよ」
さらにややこしい話へと発展していくので、眉間に皺を寄せたままな僕は、一度仕切り直す為に、少女の目的一つを聞き出すことにした。
「知りたいって言うのは自分のことを?それが目的なの?」
「わかんないよ」
「お前やっぱり馬鹿だろ?」
「馬鹿じゃないし」
「馬鹿じゃないことはわかるんだな」
「うん、あと夏樹くんが馬鹿だってこともわかるよ?」
「おー?ぶっとばすぞ?」
少女の子供じみた性格と、どうして少女がこの浅瀬に現れたのかがわかった気がした。
それと、僕がもうこの少女とイレギュラーな夏休みを過ごすと言うことが、既に頭の中で構成されていた。
「ねぇ、君は私を知ってる?」
「それ、僕らで探そうよ」
「うん」
それは、29回目の答え。
僕の返答に頷く少女は素直だった。
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