2 根本からずれてる

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 そして、「一応付き合ってる」という俺の言葉で、お互い赤面して言葉を失ってしまった。 「と、鳥井くんは自転車って事は、家は近いの?」 「俺の家? 5キロくらいかな」 「えっ、遠い……」 「電車通学の鈴木さんの方が絶対遠いよ。どこの駅から通ってるの?」 「海老沢北から」 「遠っ!」  海老沢北駅って、川左駅から20分は掛かるぞ!?   「なんでそんなところから……熱井高校とか、もっと近くに行きやすいところあるじゃん」 「うん、そうなんだけど、近くの高校嫌だったから」  彼女の言葉が尻すぼみになったから、俺は本能的に「この先は聞いたらあかんやつ」と思って口をつぐんだ。  川左駅の前まであと500メートルくらい。学校からここまでは歩いて8分(学校公式サイトより)。  その間俺たちがお互いについてわかったことは、趣味と、お互いの感覚で言うと遠くから通学してるということだけだった。  別に俺は自分をコミュ障だと思ったことはないけど、とにかく会話が続かない。  こんなことでやっていけるのか、俺たち。  彼女がちょっと可愛いのは確かだけど、早いうちにお試し終了した方がいいんじゃないのか。  俺がそんなことを考えている間に、川左駅の前までついていた。 「じゃあ、ここで。ありがとう、鳥井くん。……優しいね」 「あっ? う、うん、気を付けて。また、明日」 「うん。また明日」  優しいねとか言われて、嬉しそうに「また明日」って返されて。  小さく手を振って彼女と別れた後、俺はチョロく浮かれてしまって、自転車をこぐ足にめちゃくちゃ力が入った。
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