3 図書館はデートする場所じゃない

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 そもそも、彼女は俺の事好きなのか?  思考はいつもそこで堂々巡りだ。 「日曜日、空いてる?」  そんなことを思いきって言ってみたのは、俺たちが付き合い始めてから2週間目の木曜日。  その間俺たちがした事といえば、一緒に下校してその間に話す事だけ。これ付き合ってるって言うのかな、と一昨日辺りから俺は悩み始め、思い切って鈴木さんを日曜日に誘う事にした。  自分で言ってなんだけど、心臓バックバク! 「日曜日?」  オウム返しにして振り向いた鈴木さんは、顔を強張らせた俺を見て一瞬フリーズした。その後で、見る間に顔を真っ赤にする。 「にっ、にちようび! にちようび、あいてます! はい、だいじょうぶです!」 「とっ、図書館……図書館行って勉強しない?」 「はいっ、一緒に勉強、します」     お互いに意図が通じてしまったから、俺たちは思いっきり挙動不審になった……。  初デート、どこへ行ったらいいかなって凄い悩んだんだけど。  本が好きって言ってたし、一緒に勉強って言えば誘いやすいし、お金もかからないし、図書館なら無難かなって結論に至って。  それでOKをもらった俺と、誘われた鈴木さんはお互いにまともに話ができないくらい緊張してしまった……。いや、多分、俺の場合は鈴木さんの緊張がうつってるんだよ。  鈴木さん、うちの鬼姉とは違って凄いシャイだからさ。    そして日曜日。  気合い入りすぎてるのがわからない様に服に気をつけて、駅で待ち合わせした俺は鈴木さんを待っていた。 「おはよう、鳥井くん」  俺の目の前に現れた鈴木さんは、清楚を絵に描いた様なワンピースで「鬼姉とは違う!」と俺は内心ガッツポーズで叫んだくらいだ。 「そういうの、いいね。……制服しか見たことなかったから新鮮」 「そ、そうかな。似合う?」 「うん、凄く、似合ってる」 「……どうしよう、死んじゃう……」    俺の拙い褒め言葉で照れて座り込んじゃうのどうなの!?  可愛すぎないか? 俺の暫定彼女!!  既にふらふらになっている彼女を助け起こして、自動販売機で買ったジュース渡してベンチで並んで飲んで、ようやく彼女が落ち着いたから、俺たちは歩いて図書館へ向かった。  結論から言おう。  図書館は、デートをする場所じゃなかった。  そもそも、おしゃべりができない。
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