4 鬼 姉 に バ レ た

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「あ、やっぱり彼女なんだ。引っかかった」 「鬼姉ー!!」  ジタバタしている俺と、実に楽しそうにそれを見ている明日菜を、父さんと母さんが生温かい視線で見守っていた。 「いつから付き合ってんの?」  もう、明日菜は全部俺のプライバシーを明るみに出すつもりだ。容赦がない。  でも、きっと下手に隠しておいてもバレたときのダメージがデカくなるだけだから、俺は観念して正直に答えた。 「入学式の日に、告白された」 「入学式ー!? 中学一緒の子?」 「違う。……その日に昇降口で26番目に会った人が運命の人って占いで言われたから、って」 「なにそれ、ウケる。それで? そんな酷い理由なのに付き合ってんだ」  酷い理由、と言われて俺はカチンときた。  それだけだったら、例え「お試し」だろうと付き合ったりしてない。  俺があの時「お試しなら」という答えを出したのは、彼女が凄く真剣だったからだ。   「馬鹿にすんなよ。彼女が真剣だったから、お互いに全然知らなかったけど、とりあえずお試しでいいならって付き合ってんだよ。図書館行って悪いかよ、俺たち、ちゃんとお互いのこと知ろうとしてる途中なんだよ!」  俺の剣幕が凄かったのか、明日菜がピタリと笑いを止めた。 「青春してるー」 「お前だって同じ高校生のくせに!」 「次はさ、図書館とかじゃなくてショッピングにしときなよ。ウィンドウショッピングでも楽しいし、あんた服見立てるの割とうまいから。アクセサリーの一個でも買って上げたら喜ぶよ」 「お、おお?」  明日菜は、普通の顔をしていた。俺の事をからかっているわけでもなく、罠に掛けてやろうという顔でもなく、普通に夕飯を食べているときの普通の顔。  これは……素直にアドバイスだと受け取っていいんだろうか。  俺が苦悩している間、父さんと母さんは顔を見合わせ、「大きくなったなあー」なんて言い合っていた。
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