4.別離の時

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斎場に着き、ひなたの棺が玄関を通る。 二度と出てくることのないひなたを思い、俺は涙を流した。 まもなく、ひなたは灰になる。人としての姿を天に帰してしまう。 その時になって・・・やっと翔が斎場に現れた。 「すまん・・・」 たった一言だけ俺に告げて、立ち尽くしていた。 本当なら・・何を今更!と怒鳴るところだろうか・・ 追い返し、ひなたに会わさずに終わらせるのが正解だろうか・・ でも、俺はそうはしなかった。 ・・・できなかったと言う方がいいかもしれない。 何も言わずに翔を招き入れ、ひなたの最期の顔を見せることにした。 「なあ・・翔。」 おもむろに俺は翔に声をかける。 「なんだ?」 「ひなた・・最期に何て言ったと思う・・?」 「・・・・」 「命が終わる最期の瞬間に・・ひなたは、『ありがとう・・』と言ったんだ。」 「・・・そうか。」 「『ありがとう・・・壮真』ってな・・・」 「・・・・え?」 「いつわかるようになってたのか・・・もしかしたら、ずっと気づいていたのか・・もう確認しようがないけど・・・ひなたは、付き添っているのがおまえじゃなく・・俺と気づいていたんだ・・。」 「そう・・・・なのか・・・」
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