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担当医が余命宣告をして間もなく4か月が訪れる。
抗がん剤の効き目は薄く、いくつか種類を変えてみたものの、副作用こそ強く出たものの、ひなたの病状を良い方向に持っていくことはできないでいた。
およその予想通り、着実にひなたの体は弱り、蝕まれ、遂に起きることもままならなくなった。
俺は相変わらず毎日翔の元に行ったが、遂に翔は家に帰ってこなくなった。
何もかもうまくいかない日々・・・。
ひなたは確実に光を失い始めているというのに、俺は何もしてあげることができないことに唇を嚙み締めていた。
近く訪れるひなたの最期・・俺は何ができるだろう・・
想像したくない現実・・しかし、予測しておかないといけない事実・・
せめて翔も一緒にこの苦しみを味わって、お互いに乗り越えられるなら・・
それを願っても、翔は姿を見せない。
翔は、翔なりに現実を直視しているのかもしれない。
確実に弱っているひなたを想像し、かつて見ていた笑顔の記憶が崩れ行くのを恐れているのかもしれない。
俺が必死に翔を求めることで、翔は自然とひなたの最期の時がせまっていることに気づいてしまう・・。
だから、逃げたのだろう。哀しい現実から・・。
愛しているからこそ、受け入れられない・・そう考えてやることが、せめてもの翔に対しての思いやりなのかもしれない。
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