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別れてくれ――――
わたしの初恋は、彼のたった一言で、あっけなく散ってしまった。
大学の卒業式のあと、周囲が卒業祝いの陽気なムードあふれる中、まるで「ちょっとノート貸して」とでも言うような容易さで、別れを言い渡されたのだ。
入学後間もなく付き合いがはじまった彼との関係は、波風がたつこともなく、約四年間、しっかりと絆を結んでいた……はずだったのに。
当然、青天の霹靂、まるで世界がひっくり返ったかのような彼のセリフを簡単に受け入れられるわけもなく、わたしは理由を問いただした。
けれど彼は口をつぐんだまま何も答えない。
しびれを切らしたわたしは、
他に好きな人ができたの?
衝撃に怯える心を奮い立たせて、そう訊いた。
すると彼は、本当に申し訳なさそうに顔をしかめて、まるで今にも泣き出しそうな表情で、
ごめん………
絞り出すように呟き、くるりと背を向けた。
わたしの方こそ泣きそうになるのを堪え、強く彼を呼び止める。
けれど呼び慣れたその名前をいくら叫んでも、彼は、二度と振り返ることはなかった。
遠く離れていく、大好きな、大好きな人…………
………彼とは、それきりだった。
それ以来、会うことも、声を聞くことも、姿を見かけることすらなかったけれど、
わたしを置いて立ち去っていく彼の姿は、ずっと目蓋に焼きついていて、わたしの心を深く抉り続けている。
それはずっとずっと変わらずに、四年経った、今でも………
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