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ぽかぽかと天気のいい平日の午後だった。
都会のど真ん中にある広い公園には大きな池とそれをぐるりと回る散策路があった。
朱色のアーチ形の橋がいくつかの池の中に浮かぶ小さな島を繋いでいる。
白鳥のボートを漕いでいるカップルも数組。
その池をながめるように等間隔にベンチが置いてあって、誰もがしばしの休憩を楽しむように腰を掛けていた。
その人はその中の一つにすわっていた。
晴天で青空が広がり汗ばむくらいだというのに、その人の周りだけは凛として引き締まった空気が漂っている。
まったく体温を感じさせない陶器のような白い肌がひどく場違いに見えた。
時が止まったかのような静寂がそこにはあった。
その人に表情はなく、じっと池を見つめ続けている。
緑は濃く賑やかな人並みのなかそこだけがモノクロの世界のようだった。
目が離せなくなった。
その人の美しさに、それとも静けさに。
背筋をピンと伸ばし、スラリとした肢体は少しも動く気配がない。息をしていないのかと思った。
もしかして動きを止めたロボットか何かかもしれない。
ぼくはさりげなくその人のそばを通りすぎ近くで様子を見てみることにした。
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