暁の空

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暁の空

肩の肌蹴たパジャマ代わりのTシャツを剥ぎ取るように脱がせて柔肌を、掌で、唇で、舌で、―――五感全てで堪能し、いつもよりも気持ちが急きつつその体を開いていく。 薄明かりの中でも肌の上に散った赤い痕がぼんやりと浮かび上がって、早急な愛撫に身をくねらす姿は艶かしく、より一層俺の目を楽しませてくれて。 まだ少し早いかもしれないと頭ではわかっているのに、一秒でも早く桐の中の熱を感じたくて、余裕なく張詰めた己の怒張を淫靡に滑る小さな孔へと一気に押し込んだ。 背を撓らせ鋭く喘ぎを上げた後、俺の背に添えられていた桐の指が縋るものを探すように皮膚に食い込む。 「――ッあ・・・ふ、ぁ・・・」 言葉にならない溜息のような喘ぎが、桐の可愛い口から漏れ落ちて、少しずつ腰を揺さぶる俺の動きに連動するように声と喉も震えている。 ぬちゃぬちゃ粘ついた水音とベッドがギシギシと軋む音が室内に響いて、昂ぶった興奮を更に助長させ、桐の蠢く胎内に埋めた自身がズクンと疼いてその嵩を増していく。 愛していると何度も囁き、愛していると何度も囁かれた。 喘がせ啼かせてとろとろに蕩けた桐の体を繰り返し攻め犯し、互いの意識が朦朧とするまで飽くことなく貪り合った。 何度目かわからない欲望を吐き出し終えて、それでもまだ俺自身を締め上げる心地好い内壁の感触に酔い痴れる。 「・・・もうちょっと、このまま桐の中に、いていい?」 いいでもダメでもなく曖昧に揺れた頭を抱き込むように胸に押し付け、少しの間互いの跳ね続けている鼓動を触れ合う肌で感じ合う。 繋がった躰の火照りは当分冷めそうにないが、激しく昂っていた感情というか・・欲望は、徐々に落ち着きを取り戻し始めて、ふたりを取り巻く艶かしい空気が少し薄まった。 「伴さんや麗子ママに、挨拶行かなきゃなあ」 「そうだね・・・」 「そしたら新しい部屋、探しに行こうな」 「・・・ん」 「ここら辺からあんまり遠くない方がいいよねえ」 「私は、マ・・・ゃ、すはる、と一緒なら、どこでも、いい・・・、―――ぁんッ」 「・・・桐が可愛いこと言うからだって」 せっかく落ち着き始めてたのに、(と言ってもまだ挿れたままだったけど)桐が嬉しいこと言って俺を煽るから、半分しんなりしかけてたムスコが元気になっちゃうのは仕方のないことだ。 ドクリと脈打ったそれを包むように蠕動する内壁に堪らずゆらゆらと腰を揺す振れば、欲望を助長させるような艶かしい吐息が俺の首筋を湿らせる。 桐を抱いたまま身を起こし、ベッドヘッドに背を預けるようにして座りなおして、切なげに眉根を寄せる桐の腰を強く引き寄せた。 「―――いい眺め~」 汗でじわりと濡れた桐の肌はいまだ火照ったようにほんのりピンクで、つんと尖った乳首は弄られすぎて真っ赤に腫れている。うろうろとさ迷う瞳は潤んで揺れて、乱れた髪が汗で頬に張り付いたままだ。柔肌に散る所有の痕跡ににんまりしながら、時折思い出したように腰を突き上げ、小さく喘ぎ声を上げる愛しい恋人の快楽に酔う姿を愉しむ。 「桐は、どんな部屋に住みたい?」 俺の上でくにゃくにゃと腰を揺らす桐に、先ほどの話の続きを問う。 桐は緩く首を横に振りながら、「どこでも、いい・・ッ」と、背を撓らせた。 「えー。どこでもいいはだめだよー。部屋はふたつ以上とか、ペット可のとことか、・・・いろいろあるでしょ?リクエスト的な何か」 桐のいいところばかりを集中的に、けれど決定的な快楽には遠い緩さで突き上げて、俺は意地悪く質問を繰り返す。 焦れたようにぷるぷると震える自身に手を伸ばそうとしていたけれど、それも阻止して俺の首に回させた。 「ちゃんと自分の意見を言うまで、イっちゃだめー」 どうして?と、縋るような涙目で俺を見る桐に、できるだけ優しい声で告げる。
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