番外編1 学友とのひと時

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「ヴェニー、お風呂入ってきたら?沸いてるよ」 「エメもごまかそうとしてるでしょ。いいよいいよ、せっかくのお泊まりだし朝まで尋問するからね」 「えー…やだなぁ…寝ようよ…」 心底嫌そうな顔をするエメを見て、ヴェニーがくすりと笑った。 「この年になって学校なんてさ、やっぱ不安だったんだ。エメと友達になれてうれしい」 唐突に出た真面目な言葉に、思わず固まる。ヴェニーはまた不敵な笑みに戻って立ち上がった。 「友達のことって知りたいじゃん。だから朝まで質問攻め。じゃ、お風呂借りるねー。学長先生―!お風呂借りるねー!!」 書斎から「大声出すな」と困ったような声が聞こえ、ヴェニーは面白そうにくすくす笑った。 「朝まであの調子か?」 ヴェニーが風呂に消えたあと、クラウスが顔を出した。 「さぁ…客間に二つお布団は用意したんですけど」 「なんかこう、適当に眠らせる魔法とかないのか?」 「学校外での魔法使用は禁止です」 「ああ、そうか…面倒だな。酒飲ませるか」 「『先生』、問題発言です。心配してくださってるんですか?」 「君はよく寝る子だろう」 「代わりに客間で寝てくださいます?」 「勘弁してくれ」 「ふふ、」煩わしそうなクラウスに思わず笑みがこぼれる。「冗談です。本当のことを言うと、私、うれしいんです。学校で友達ができて。楽しいです」 「…なら、いいか」 クラウスが頭を掻き、エメの隣に腰かける。頭を掻くのは、考え事をしているときと困ったときの彼の癖だ。 「あまりうるさくしないよう言います。お仕事、終わりました?」 「いや、適当に切り上げて寝る。一人寝は久々だな」 「寂しい?」 「まあな」 「ふふ、」 「なんだ」 「今夜はやけに素直ですね」 「ああも底抜けの人間がいると多少あてられる」 「そうかもしれません」 くすくすと笑うエメを見、不意にクラウスが身を乗り出して唇を重ねた。きょとんとした顔でクラウスを見、みるみる赤くなるエメを見てクラウスもおかしそうに笑った。 「おやすみの先取りを」 「ふ~~~~~~~ん???」 振り向くと、にやにやとした笑みを浮かべたヴェニーが扉から覗いていた。顔を真っ赤にしたエメの「早くお風呂入ってきて!」とクラウスの「早く風呂入れ!」が同時に響き、ヴェニーはまたにやりと笑った。 「お二人さん、夜は、お・し・ず・か・に」
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